結論
ものづくり補助金の実績報告では、見積から支払までの書類が、正しい順番の日付でつながっていることが確認されます。納品時の写真や検収の記録は、後から作り直せません。報告書を書く段階ではなく、発注する前から揃え方を決めておくことが大切です。
ものづくり補助金事務局は「実績報告資料等作成マニュアル」を公開しています。ここでは、その内容をもとに、実績報告で求められる証拠書類と、つまずきやすい点を整理します。細かな様式や事業完了期限は締切回ごとに違うため、必ずご自身の回の「補助事業の手引き」で確認してください。
実績報告の期限は「事業完了期限」と同じ
マニュアルでは、実績報告書の提出期限は事業完了期限と同じと案内されています。つまり、発注・納品・支払・効果の検証をすべて終えたうえで、期限までに報告書を出す必要があります。
提出はjグランツから行いますが、その前に地域事務局による「事前確認」があります。資料一式をメールで地域事務局に送り、確認が終わってから正式に提出する流れです。差し戻しのやり取りを見込んで、期限より前に資料を仕上げておく必要があります。
| 提出期限 | 事業完了期限と同じ(期限は締切回ごとの手引きに記載) |
|---|---|
| 提出方法 | 地域事務局の事前確認(メール)→ jグランツで正式提出 |
| 途中の報告 | 交付決定月の翌月から3か月後の末日を基準日に、遂行状況報告を提出(基準日の翌月15日まで) |
一度は提出したものの不備が残り、時間切れで支払いが間に合わなかった事例も、マニュアルに補助対象外の例として挙げられています。
経理書類は、この順番の日付でつながる
経費ごとに、次の書類を揃えます。各書類の日付は、前の書類と同じか後でなければなりません。
| 順番 | 書類 | 確認される点 |
|---|---|---|
| 1 | 見積依頼書(仕様書) | 税抜単価50万円以上の物件で必要 |
| 2 | 見積書・相見積書 | 有効期限内に注文しているか。相見積を取れない場合は業者選定理由書 |
| 3 | 注文書(契約書)・受注書 | 交付決定日より後の日付か。見積の品目・金額と一致しているか |
| 4 | 納品書(検収) | 補助事業者が検収した日付・担当者名・「検収」の文字 |
| 5 | 請求書 | 振込先の口座情報が確認できるか |
| 6 | 振込依頼書(振込金受取書) | 請求書の口座に、事業者の口座から振り込んでいるか |
発注書・契約書の日付が交付決定日より前のものは、補助対象になりません。事前着手の承認を受けた場合は、その承認日が基準になります。なお、着手金などの先払いがある契約では、請求日・支払日が納品日より前でも構わないとされています。
支払いは原則、銀行振込
事務局は、銀行振込の記録で支払いの事実を確認します。マニュアルでは、次の支払いは補助対象にならないと明記されています。
- 他の取引との相殺払い
- 手形(裏書譲渡を含む)・小切手
- ファクタリング、代行振込
- 事業期間内に契約が完了しない割賦
- 補助対象以外の支払いとの混合払い(行わないよう案内)
現金やクレジットカードも原則として認められません。10万円未満の少額の支払いに限り、事前に事務局へ連絡した場合に個別に承認されることがある、とされています。振込手数料を相手先が負担した場合は、その分を値引きとして経費から差し引く処理が必要です。
後から撮れない写真と、検収の記録
写真は、経費ごとに複数枚が必要です。機械装置では、次の4つの場面がすべて求められます。
- 設置前のスペース
- 搬入時の機械装置
- 送付伝票
- 設置後の機械装置
納品時の写真は撮り直せません。原材料のように量があるものは、数量が分かるように並べて撮影します。検収は補助事業の実施場所で行い、受領書とは別のものとして扱われる点にも注意が必要です。
管理No.と台帳で、書類と現物を結びつける
購入した機械装置や原材料には、「機-1」のような管理No.を付けます。この番号を、現物のラベル、すべての経理書類、費目別支出明細書で一致させます。1枚の見積書に複数の品目がある場合は、品目ごとに番号を書き込みます。
税抜単価50万円以上の機械装置やシステムは、「取得財産等管理台帳」に記載します。取得年月日は納品書の検収日です。この台帳は、入金後に設備を売ったり用途を変えたりするときの手続きにもつながります。
報告書の本文は「成果」を数字で書く
実績報告書は、経理書類を揃えるだけでは終わりません。マニュアルでは、設備を導入・設置しただけでは補助対象にならず、どのような新商品・新サービスにつながったかを検証して報告するよう求めています。
再作成を求められる例として、数行だけの記載、交付申請書の写し、写真を並べただけの報告、「大幅に削減した」など数値のない記載が挙げられています。作業時間やコストの変化など、計画で決めた指標に沿って結果を書くことが求められます。
発注の前に決めておきたいこと
実績報告で慌てる原因の多くは、発注の時点ですでに生まれています。交付決定を受けたら、発注の前に社内で次の点を決めておくと安全です。
- 誰が見積依頼・注文・検収・振込を担当するか
- 補助事業用の書類をどこに、どの管理No.で保管するか
- 納品日に誰が写真を撮るか
- 効果をどの指標で、いつ測るか
中間監査や確定検査では、経理証拠書類の原本を確認すると案内されています。当事務所では、交付決定後の発注段取りから実績報告書の作成、事務局とのやり取りまでを一緒に進めます。費用はご相談時にお伝えします。
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出典
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