結論
環境共創イニシアチブ(SII)の「業務産業用蓄電システム導入支援事業」は、交付申請の受付が2026年10月30日(金)までです。対象は高圧以上で受電する工場・ビルなどに置く、20kWh超・PCS合計出力100kW未満の蓄電池で、DR(ディマンドリスポンス)に参加することが条件です。予算に達すると締切前でも受付が終わるため、検討中なら今月中の判断が必要です。
電気代の対策や停電への備えとして、蓄電池を検討する工場や食品工場は少なくありません。この事業は、電力がひっ迫したときや再エネが余ったときに、蓄電池の充放電で需給の調整に協力することを前提にした補助金です。公募要領(1.1版)の記載をもとに、締切までに決めることを整理します。
対象になる会社と設備
補助の対象は、日本国内で事業を営む法人・個人事業主などで、導入する蓄電池の所有者になる人です。リースで導入する場合は、リース会社と使用者の共同申請と案内されています。設備は、主に次の要件をすべて満たす必要があります。
| 蓄電容量 | 20kWhを超える(火災予防条例の安全基準の対象) |
|---|---|
| 出力 | 蓄電池PCSの合計出力が100kW未満 |
| 設置場所 | 高圧以上の需要側(工場・ビルなど) |
| DR | DRに対応できること(IoT化関連機器を介した対応も可) |
| 価格 | 設備費+工事費・据付費が目標価格(税抜11.9万円/kWh)以下 |
| 安全・セキュリティ | 類焼試験の第三者証明、制御機器のJC-STAR★1取得などの資料を提出できること |
新品の導入が前提で、セルやモジュールの一部更新は対象外です。PCS合計出力が100kW以上なら、SIIの別事業(大規模業務産業用蓄電システム等導入支援事業)の対象になります。
補助額は3つの計算のうち一番低い額
補助金は、次の3つで計算した額のうち、最も低い額になります。
| 計算方法 | 内容 |
|---|---|
| ① 基準額 | 蓄電容量1kWhあたり3.75万円(評価項目を満たすと1kWhあたり0.1万円ずつ上乗せ) |
| ② 補助率 | 設計費・設備費・工事費の合計の1/3以内 |
| ③ 上限額 | 1申請あたり1,500万円 |
たとえば50kWhの蓄電池なら、①は187.5万円です。目標価格いっぱいの595万円(税抜)で導入した場合、②は約198万円なので、補助額は①の187.5万円になります。受電設備や系統連系の工事費は補助の対象外です。課税事業者は、消費税の仕入控除税額を差し引いて申請します。
この事業の予算は、家庭用蓄電池・IoT化推進事業と合わせた59.6億円のうち、1.7億円程度と案内されています(事業間で流用される場合があります)。
DRの参加方法は2つ
申請者は、次のどちらかの形でDRに参加します。どちらも少なくとも2028年3月31日まで続けることが条件です。
| 型 | 内容 |
|---|---|
| アグリ型 | SIIに登録された蓄電池アグリゲーターとDR契約を結び、蓄電池の遠隔制御・制御指示を受ける |
| 小売型 | 契約している小売電気事業者が、SIIに登録したDRメニューに加入する |
アグリゲーターと小売電気事業者の登録受付は9月30日で終わっています。今から申請する場合は、SIIのホームページに公開されている一覧から相手先を選ぶことになります。DR対応期間が終わった後も、法定耐用年数の間は設備を適切に使い、売却や廃棄の前にSIIへ連絡する必要があります。
発注は、交付決定と三者見積検査のあと
いちばん注意したいのは順番です。交付決定の前に蓄電池の発注・契約をすると、補助の対象になりません。交付決定後も、SIIの三者見積検査が終わるまでは原則として発注できないと定められています。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 交付申請まで | GビズIDプライムの取得、見積の取得、アグリゲーターまたはDRメニューの選定 |
| 2026年10月30日(金) | 交付申請の受付期限(Jグランツで申請) |
| 申請後3〜6週間程度 | 審査を経て交付決定(随時) |
| 発注の前 | 三者見積検査(同一条件の見積3者分・発注経過表など) |
| 2027年2月1日(月) | 設置・試運転・検収・支払い・DR契約まで含めた事業完了の最終期限。実績報告もこの日まで |
締切近くに申請すると、交付決定から完了期限までが3か月を切る場合があります。蓄電池は納期がかかることもあるため、見積の段階で納期と工事日程を確かめておくと安全です。支払いは原則として検収の翌月までに金融機関の振込で行い、手形や相殺は認められていません。
ほかの補助金と組み合わせるとき
この補助金は、同じ設備について他の国の補助金と併用できません。省エネ補助金などで同じ蓄電池を申請している場合は、どちらを使うか先に決める必要があります。自治体の補助金や税制優遇との併用は、それぞれの窓口に確認するよう案内されています。
- DR制御のために新たにIoT機器を付ける場合、その費用はこの事業では対象外です。「ディマンドリスポンスの拡大に向けたIoT化推進事業」で申請できるとされています
- 関係会社から見積を取る場合は、資本関係のない2者以上の見積も必要です
- 自社から調達する部分があれば、利益相当分を補助対象経費から除きます
審査があるため、申請すればかならず交付されるわけではありません。今年度に間に合わない場合も、受電の状況や電気の使い方を整理しておけば、次の公募や他の省エネ設備の補助金を検討するときの材料になります。費用はご相談時にお伝えします。
関連ページ:省エネ補助金(省エネ・非化石転換補助金)/製造業の補助金/交付決定後に設備や発注先を変えたいとき
出典
- 令和7年度補正 業務産業用蓄電システム導入支援事業 公募情報(一般社団法人環境共創イニシアチブ)
- 令和7年度補正 業務産業用蓄電システム導入支援事業 公募要領 1.1版(一般社団法人環境共創イニシアチブ)
- 令和7年度補正 業務産業用蓄電システム導入支援事業(Jグランツ)
制度の内容・金額・締切は変更されることがあります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。