結論
2026年度の地域別最低賃金は、静岡県1,154円(10月15日発効)、長野県1,117円(10月2日発効)です。補助金の「事業場内最低賃金+30円」は、改定後の額が基準になります。静岡県なら1,184円、長野県なら1,147円が目安です。
省力化投資補助金やものづくり補助金には、賃金に関する約束がついています。その1つが「事業場内最低賃金を、地域別最低賃金より30円以上高くする」という要件です。
この「地域別最低賃金」は毎年改定されます。去年の計画で問題なかった時給でも、今年の改定で足りなくなることがあります。採択済みの会社も、これから申請する会社も、改定後の数字で確認が必要です。
静岡県と長野県の2026年度の最低賃金
厚生労働省の一覧では、2026年度(令和8年度)の改定額と発効日は次のとおりです。全国加重平均は1,177円で、前年度から56円の引上げです。
| 静岡県 | 長野県 | |
|---|---|---|
| 改定前 | 1,097円 | 1,061円 |
| 改定後 | 1,154円 | 1,117円 |
| 引上げ額 | 57円 | 56円 |
| 発効日 | 2026年10月15日 | 2026年10月2日 |
長野県はすでに新しい額が発効しています。静岡県は10月15日からです。発効日を過ぎてから時給を直しても、補助金の前に最低賃金法の問題になります。
業種によっては、地域別とは別に特定(産業別)最低賃金が定められている場合があります。自社の業種が該当するかは、労働局の案内で確認してください。
「+30円」「+50円」は、いくらになるか
改定後の額に30円を足すと、次の水準になります。大幅賃上げ特例を使った省力化補助金(一般型)では、+50円以上が条件です。
| 水準 | 静岡県 | 長野県 |
|---|---|---|
| 地域別最低賃金(改定後) | 1,154円 | 1,117円 |
| +30円(基本要件) | 1,184円 | 1,147円 |
| +50円(大幅賃上げ特例) | 1,204円 | 1,167円 |
| (参考)改定前の+30円 | 1,127円 | 1,091円 |
改定前の+30円と比べると、どちらの県も50円以上上がっています。昨年の水準で時給を決めていた会社は、差がそのまま不足になります。パートやアルバイト、試用期間中の人も含めて、事業場でいちばん低い時給がこの水準を超えているかを見ます。
どの補助金に、この要件がついているか
当事務所でご相談の多い制度では、次のように案内されています。いずれも未達の場合に返還の規定があります。
| 制度 | 最低賃金に関する要件 |
|---|---|
| 中小企業省力化投資補助金(一般型) | 毎年、事業実施都道府県の最低賃金+30円以上 |
| 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 | 事業場内最低賃金が地域別最低賃金+30円以上 |
| ものづくり補助金(統合前の公募回) | 毎年3月末時点で地域別最低賃金+30円以上 |
省力化補助金(一般型)の公募要領では、事業場内最低賃金の要件が未達の年は、補助金額を事業計画年数で割った額の返還を求めるとされています。ものづくり補助金の事業化状況報告でも、同じ考え方が案内されています。
判定の時点や、返還が免除される条件は、制度と公募回ごとに違います。自社の交付決定がどの公募回のものか、要領で確かめるのが確実です。
採択済みの会社が、今やること
補助事業の計画期間中は、最低賃金が改定されるたびに点検が必要です。手順は次のとおりです。
- 交付決定通知と公募要領から、自社に「+30円」「+50円」のどちらがかかっているかを確認する
- 補助事業の実施場所がどの都道府県か確認する(本社と工場で県が違う場合に注意)
- 賃金台帳で、事業場内の最も低い時給を洗い出す
- 上の表の水準に届かない人がいれば、昇給の時期と額を決める
- 翌年の事業化状況報告で使う月の賃金台帳に、反映されているかを確かめる
月給の人も、時間あたりに直すと届いていない場合があります。所定労働時間が長い職場や、手当の比重が大きい給与体系では、とくに計算を確認してください。
これから申請する会社は、5年分の時給を先に引く
新しく申請する会社は、今年の改定額だけ見ても足りません。計画期間は3〜5年あり、その間も毎年改定が続くからです。
- 過去の引上げ幅を参考に、計画期間中の最低賃金を毎年見込んでおく
- 大幅賃上げ特例で上限を引き上げる場合は、+50円を5年間続けられるかを先に試算する
- 1人当たり給与支給総額の目標(年平均+3.5%以上など)と、時給の底上げを同じ表で管理する
中小企業成長加速化補助金のように、最低賃金の上昇率を基準にした賃上げ要件をもつ制度もあります。制度ごとに物差しが違うため、申請前に1枚の表にまとめておくと、採択後の点検が楽になります。
静岡県は、業務改善助成金の申請期限に注意
厚生労働省の業務改善助成金は、事業場内最低賃金の引上げと設備投資をあわせて支援する制度です。令和8年度の申請期限は、地域別最低賃金の発効日の前日、または11月30日のいずれか早い日と案内されています。
静岡県は発効日が10月15日のため、申請期限は10月14日になります。長野県は発効日が10月2日のため、すでに期限を過ぎています。引上げや設備投資は「これから実施するもの」が対象とされており、先に昇給してしまうと使えない点にも注意が必要です。
補助事業の賃金要件の点検は、交付決定の書類と賃金台帳があればすぐに始められます。他社で申請した案件でも構いません。費用はご相談時にお伝えします。
関連ページ:ものづくり補助金は、入金後5年間の報告が続く/省力化補助金の第8回、締切までに何を揃えるか/採択後の手続き代行
出典
- 令和8年度地域別最低賃金全国一覧(厚生労働省)
- 地域別最低賃金の全国一覧(厚生労働省)
- 業務改善助成金(厚生労働省)
- 中小企業省力化投資補助事業(一般型)公募要領(第8回公募)(中小企業基盤整備機構)
- 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 公募要領(第1回)(中小企業基盤整備機構)
- 事業化状況報告(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 公式サイト)
制度の内容・金額・締切は変更されることがあります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。