結論
厚生労働省の令和8年度エイジフレンドリー補助金は、交付申請の期限が2026年10月31日(土・当日消印有効)です。外部専門家のリスクアセスメント(第1段階)の受付はすでに終わっていますが、自社でリスクアセスメントを行い、第2段階から申請する道は残っています。予算に達すると期間中でも受付終了となるため、出すなら早めの判断が必要です。
この補助金は、60歳以上の従業員の労働災害を防ぐための設備改善や運動指導などの経費を補助する制度です。金額は大きくありませんが、製造業や食品工場の床・階段・搬送の改善に使えます。リーフレット(令和8年度版)の記載をもとに整理します。
対象になる会社
次の2つをどちらも満たす中小企業事業者が対象です。
- 1年以上事業を実施していること
- 役員を除き、自社の労災保険が適用される60歳以上の労働者が常時1名以上働いていること
中小企業の範囲は、常時使用する労働者数か資本金等のどちらか一方を満たせばよいとされています。
| 業種 | 常時使用する労働者数 | 資本金・出資の総額 |
|---|---|---|
| 製造業・建設業・運輸業など | 300人以下 | 3億円以下 |
| 卸売業 | 100人以下 | 1億円以下 |
| サービス業 | 100人以下 | 5,000万円以下 |
| 小売業・飲食店・持ち帰り・配達飲食サービス業 | 50人以下 | 5,000万円以下 |
3つのコースと補助率
コースは3つです。上限額はいずれも消費税を除いた額で、事務局サイトでは複数コースの併用はできないと案内されています。
| コース | 補助対象 | 補助率 | 上限額 |
|---|---|---|---|
| 専門家総合対策コース 第2段階(B) | リスクアセスメントの結果を踏まえた設備・装置の導入などの労働災害防止対策 | 1/2 | 100万円(第1段階との合計) |
| 専門家総合対策コース 第2段階(C) | 転倒防止・腰痛予防のための専門家による身体機能チェックと運動指導 | 1/2 | 100万円(第1段階との合計) |
| 熱中症対策コース | 体表面の冷却や身体冷却のための機器、健康管理システムの導入 | 1/2 | 100万円 |
| コラボヘルスコース | 健康診断結果を踏まえた健康教育・保健指導、システム導入など | 3/4 | 30万円 |
第1段階(外部専門家によるリスクアセスメント、補助率4/5)の申請期限は、リーフレットでは8月31日、事務局サイトでは9月30日までに延長と案内されています。いずれにしても、受付はすでに終了しています。
工場で使いやすいのは第2段階の設備対策
製造業・食品製造の現場で検討しやすいのは、第2段階(B)の設備対策です。リーフレットには、たとえば次の取組が挙げられています。
- 作業場所や通路の段差解消、階段の手すり・滑り止め
- 水場への防滑性能の高い床材・グレーチングの導入
- 高所作業台の導入(自走式を除き、床面から2m未満のもの)
- 不自然な作業姿勢を解消する作業台の設置
- 重量物搬送機器・リフト(乗用タイプを除く)、アシストスーツの導入
- 業務用車両への踏み間違い防止装置の導入
条件もあります。対象の60歳以上の従業員が、その設備を使う業務に実際に就いていることが必要です。アシストスーツのように個人が着用するものは、対策に関わる高年齢労働者の人数分までが補助の対象とされています。
今から申請するなら、自社でリスクアセスメント
第2段階から申請するには、先に自社でリスクアセスメントを済ませておく必要があります。実施できるのは、安全管理者・衛生管理者・安全衛生推進者・衛生推進者などの担当者です。常時使用する労働者が10名未満の場合は、事業主も実施できるとされています。
- 60歳以上の従業員がどの作業に就いているかを書き出す
- 転倒・腰痛・重量物などのリスクを洗い出し、優先順位をつける(様式は事務局サイトに掲載)
- 優先度の高い対策について、設備の仕様と見積を取る
- 交付申請書類を、郵送またはJグランツで10月31日までに提出する
申請書類はメールでは受け付けられません。郵送の場合、消印が確認できない料金別納・料金後納や宅配便は使わないよう案内されています。
交付決定の前に発注しない
この補助金でいちばん注意したいのは順番です。交付決定日より前に発注した設備は、補助の対象になりません。代金を前払いした場合も同様です。取組をすべて終えてから業者に支払う必要があります。
| 期限・目安 | 内容 |
|---|---|
| 2026年10月31日(当日消印有効) | 交付申請書の受付期限 |
| 申請から約2か月 | 審査を経て交付決定(リーフレットの目安) |
| 交付決定の後 | 発注、設置・工事、完了後に支払い |
| 2027年1月31日(当日消印有効) | 支払請求書の受付期限 |
締切近くに申請すると、交付決定から支払請求の期限までが短くなる場合があります。納期のかかる設備は、見積の段階で納期を確認しておくと安全です。審査があるため、申請したすべての会社に交付されるわけではない点も前提にしてください。
今年度に間に合わなくても
令和8年4月1日から「高年齢者の労働災害防止のための指針」が適用されています。リーフレットでは、経営トップの方針表明、リスクの洗い出し、設備と作業内容の見直しなどがポイントとして示されています。
今年度の申請が難しい場合も、リスクアセスメントと対策の優先順位づけは無駄になりません。現場の記録を残しておけば、次の公募や、ほかの設備投資の補助金を検討するときの材料になります。費用はご相談時にお伝えします。
関連ページ:製造業の補助金/菓子製造業の補助金/採択はゴールではない
出典
- 令和8年度エイジフレンドリー補助金のご案内(リーフレット)(厚生労働省)
- エイジフレンドリー補助金(厚生労働省)
- 令和8年度エイジフレンドリー補助金(日本労働安全衛生コンサルタント会 エイジフレンドリー補助金事務センター)
制度の内容・金額・締切は変更されることがあります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。