結論
中小企業経営強化税制の即時償却・税額控除を使うには、証明書(確認書)の取得 → 計画の申請 → 認定 → 設備の取得という順序が原則です。認定までは約30日かかると案内されています。対象は令和9年3月31日までに取得して事業に使う設備なので、年度内に設備を入れるなら、いまから逆算して動く時期です。
補助金の相談を受けていると、「機械はもう発注したが、即時償却も使えるか」と聞かれることがあります。使える場合もありますが、条件が狭くなります。
税制の優遇は、申告のときに申し出れば受けられるものではありません。設備を買う前の段取りで、使えるかどうかがほぼ決まります。
どの順番で進めればよいか
中小企業庁の案内では、計画を申請する前に、設備の区分に応じた書類を取っておく必要があるとされています。流れは次のとおりです。
- 設備の区分を決める:どの類型で税制を使うかを、導入する設備から判断します
- 証明書・確認書を取る:A類型は工業会等の証明書、B類型は経済産業局の確認書
- 経営力向上計画を申請する:取った証明書・確認書を添えて申請します
- 認定を受ける:認定書が届きます
- 設備を取得し、事業に使い始める
- 決算・申告で適用する:認定申請書と認定書の写しを申告書に添付します
つまり、発注の前に少なくとも2つの手続きが入ります。証明書・確認書と、計画の認定です。
それぞれ、どのくらい時間がかかるか
| 手続き | 案内されている期間の目安 |
|---|---|
| 工業会等の証明書(A類型) | 申請から発行まで数日〜2か月程度 |
| 経済産業局の確認書(B類型) | 申請から発行まで1か月程度。不備があれば1か月以上かかる場合がある |
| 経営力向上計画の認定 | 約30日。事業分野が複数の省庁にまたがる場合は約45日 |
| 同上(電子申請で経済産業部局宛てのみ) | 約14日(休日等を除く) |
順番に積み上げると、証明書と認定だけで1〜3か月を見込むことになります。設備メーカーの納期が決まってから動き出すと、間に合わないことがあります。
期間はいずれも目安として案内されているものです。書類の不備や修正対応があると延びます。
設備を先に買ってしまったら、もう使えないのか
使える場合があります。中小企業庁の案内では、設備を取得した後に計画を出す場合、設備の取得日から60日以内に計画が受理される必要があるとされています。
さらに、税制の適用は年度単位で判断されるため、遅くとも設備を取得して事業に使った事業年度のうちに認定を受ける必要があります。この場合は、取得日と取得金額が分かる請求書や納品書の写しも提出します。
| 受理の期限 | 設備の取得日から60日以内 |
|---|---|
| 認定の期限 | 設備を事業に使った事業年度のうち |
| 追加の書類 | 取得日・取得金額が分かる請求書、納品書などの写し |
注意したいのは、証明書・確認書は取得後でも必要だという点です。B類型の確認書は、設備の取得前に申請しておく必要があると案内されています。決算期の直前に設備を入れた場合は、60日より先に事業年度末が来ることもあります。
補助金の申請とは、どう並べるか
補助金で設備を入れる場合、交付決定の前に発注すると、その経費は原則として補助対象外になります。税制は「認定の後に取得」、補助金は「交付決定の後に発注」。両方を使うなら、発注の時点でどちらの条件も満たしている必要があります。
| 時期 | 補助金 | 税制 |
|---|---|---|
| 投資を決めた段階 | 公募要領を確認し、申請 | 設備の区分を決め、証明書・確認書を申請 |
| 採択〜交付申請 | 見積書を添えて交付申請 | 経営力向上計画を申請し、認定を受ける |
| 交付決定の後 | 発注・納品・支払い | 取得して事業に使い始める |
| 決算期 | 実績報告・額の確定 | 申告で即時償却か税額控除を選ぶ |
補助金の審査期間を待っているあいだに、税制の手続きを進めておくのが無駄のない並べ方です。補助金を受けた設備でも税制の対象になりますが、圧縮記帳を使った場合は圧縮後の金額が取得価額になる点は押さえておいてください。
中小企業経営強化税制による特別償却・税額控除を受ける資産には、租税特別措置法上の圧縮記帳や、他の特別償却・税額控除との重複適用は認められないと国税庁は案内しています。組み合わせ方は顧問税理士の先生とご確認ください。
令和9年3月末の期限から、何を逆算するか
国税庁の案内では、この税制の対象は令和9年3月31日までに取得し、指定事業に使った設備です。3月決算の会社なら、今期がちょうどこの期限と重なります。
- 設備の納期はいつか。据付・試運転まで含めて、事業に使い始める日はいつか
- 導入する設備は、どの類型に当てはまるか。証明書・確認書は誰が取るか
- 補助金を併用するなら、交付決定の見込みはいつか
- 決算日までに認定が間に合うか
対象になる設備の最低取得価額も決まっています。機械装置は1台160万円以上、工具・器具・備品は1台30万円以上、ソフトウエアは1件70万円以上などです。
適用期限や要件は税制改正で変わることがあります。投資を決める段階で、最新の内容をご確認ください。当事務所は税務代理を行いません。税額の計算と申告は顧問税理士の先生の担当で、当事務所は計画の認定申請と補助金の手続きを担当します。費用はご相談時にお伝えします。
関連ページ:補助金と税制/補助金が入った期の税金と、圧縮記帳の使いどころ/採択はゴールではない
出典
- No.5434 中小企業経営強化税制(国税庁)
- 中小企業経営強化税制(中小企業庁)
- 経営力向上計画の申請について(中小企業庁)
- 工業会等による証明書について(中小企業庁)
- 経済産業大臣による確認書について(中小企業庁)
- 中小企業経営強化税制の収益力強化設備(B類型)確認申請(近畿経済産業局)
制度の内容・金額・締切は変更されることがあります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。