結論
事業再構築補助金は、入金後も補助事業の完了日の属する年度の終了後を初回として、5年間の事業化状況報告が続きます。報告の数字から収益納付の額が計算され、1円以上なら納付が必要です。報告をしないと、交付決定の取消しと返還を求められる場合があります。
事業再構築補助金を受けた会社では、入金後の手続きが毎年めぐってきます。入金から時間がたつほど、申請時の担当者がいない、決算書のどの数字を入れるか分からない、という相談が増えます。
この記事では、事業化状況報告で何を出すか、収益納付はどう計算されるかを、事務局の「補助事業の手引き<第12・13回>」と報告用のかんたんマニュアルをもとに整理します。公募回によって細かい条件が違うため、最後は自社の回の手引きで確かめてください。
報告は5年間。起点は「完了日の属する年度の終了」
手引きでは、補助事業の完了日の属する年度の終了後を初回として、以降5年間、報告する義務があると案内されています。報告に使うのは、報告対象期間内に確定した直近の決算の数字です。
報告を始められる日は、原則として各社の決算年度の翌日からです。入力できるようになると、GビズIDと担当者のメールアドレスに通知が届きます。担当者が替わっている場合は、先にシステムから社名等変更の届出をしておきます。
| 項目 | 事務局の案内 |
|---|---|
| 期間 | 補助事業の完了日の属する年度の終了後を初回として、以降5年間 |
| 使う数字 | 報告対象期間内に確定した直近の決算 |
| 報告開始 | 原則、各補助事業者の決算年度の翌日から |
| 提出先 | 事業化状況報告システム(パソコンのみ。スマートフォンはサポート対象外) |
| 様式 | 様式第13「事業化状況・知的財産権報告書」、様式第13別紙「事業化状況等の実態把握調査票」 |
決算期を変えた場合は、社名等変更の手続きが終わってから報告するよう案内されています。
報告で出す書類
報告時には、各年度の確定した決算書類などの提出が必要とされています。手引きに挙がっているのは次の書類です。
- 損益計算書・貸借対照表
- 製造原価報告書(作成している場合)
- 販売費及び一般管理費の明細(内訳)
- 労働者名簿、または法人事業概況説明書
- 賃金台帳(補助率などの引上げを受けた一部の事業類型のみ)
労働者名簿は、報告年度の決算日時点のものです。役員は除き(兼務役員は含めることが可能)、従業員はフルネームで記載します。事務局から別の書類の提出を求められる場合もあります。
入力でつまずきやすい3か所
かんたんマニュアルでは、問い合わせが多い項目が取り上げられています。製造業や多店舗の会社では、既存事業と新事業が同じ決算に入っているため、特に次の点で迷いがちです。
- 「補助事業」の範囲:事業計画書に書いた新しい事業だけを指します。既存事業や、計画にない新規事業の数字は含めません
- 売上と原価の入れ分け:補助事業単体の売上・原価と、会社全体の売上・原価を別々に入力します
- 事業化の段階:「事業化なし」と第1〜第5段階から選びます。補助事業の売上を計上しているなら、第1・第2段階は選びません
補助事業の売上を決算書から切り出せないと、ここで手が止まります。部門別や商品別に売上と原価を分けて記帳しておくと、毎年の報告がかなり楽になります。なお、確認作業が終わった後は、事業者の都合による修正は認められないとされています。
収益納付は、黒字の年に計算される
報告の内容から補助事業で収益が出たと認められる場合は、補助金の確定額を上限に、収益の一部を納付します。手引きの算定方法は次のとおりです。
| 記号 | 中身 |
|---|---|
| A | 補助金確定額 |
| B | 補助事業の事業化に係る本年度の収益額 |
| C | 控除額(補助事業に要した経費のうち自己負担分) |
| D | 本年度までの補助事業の事業化に係る累計支出額 |
| E | 基準納付額=(B−C)×A÷D |
Bが0以下なら、その年の納付額は0です。また、該当年度の決算で会社全体の経常利益が赤字なら、その年度分の収益納付は免除されます。ただし、ここでいう経常利益には営業外収益を含めないため、決算書の数字と異なる場合があると案内されています。
システムに入力した数字から「本年度納付額」が自動で計算され、1円以上であれば納付が必要です。入力を誤ると納付額も変わるため、数字の拾い方を確かめてから送信することが大切です。
報告しない・目標に届かないときの返還
| 場面 | 事務局の案内 |
|---|---|
| 報告をしない、遅れる | 交付規程第22条に基づき、交付決定の取消しと補助金の返還が必要となる場合がある。取消しの場合は年利10.95%の加算金も |
| 虚偽の数値を報告 | 交付決定を取り消し、補助金の返還等を求める |
| 補助率などの引上げを受けた目標が未達 | 引き上げられた分の補助金の返還を求める場合がある |
目標未達で返還の対象となる類型は、公募回ごとに決まっています。かんたんマニュアルでは次のように整理されています。
| 公募回 | 返還の対象となる事業類型 |
|---|---|
| 第1〜5回 | 卒業枠、グローバルV字回復枠 |
| 第3〜9回 | 大規模賃金引上枠 |
| 第10・11回 | 成長枠、グリーン成長枠の一部 |
| 第12・13回 | 成長分野進出枠(通常類型・GX進出類型)の一部 |
「一部」は、補助率などの引上げ要件で採択を受けた事業者を指します。自社がどの扱いかは、交付決定通知と採択時の申請内容で確認します。
決算が締まる前に、準備しておくこと
- 決算前:補助事業の売上・原価・減価償却費を、既存事業と分けて集計できるか確認する
- 決算確定時:損益計算書、製造原価報告書、販管費の内訳、決算日時点の労働者名簿をそろえる
- 報告開始の通知後:システムに入力し、本年度納付額を確認してから完了まで進める
- 担当者や決算期が変わったとき:先に社名等変更の届出を出す
当事務所では、交付決定通知・確定通知・直近の決算書をお見せいただければ、何回目の報告か、どこで数字が分かれるかをご説明します。他社で申請した案件でも構いません。費用はご相談時にお伝えします。
関連ページ:ものづくり補助金は、入金後5年間の報告が続く/補助金で買った設備は、勝手に売れない/採択はゴールではない
出典
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