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制度の動き

外国で出した特許、審査請求と拒絶理由の応答にも補助がある

/ 執筆:行政書士 後藤 和樹

結論

INPIT外国出願補助金の中間手続補助は、外国出願の補助を受けた特許出願について、外国での出願審査請求や拒絶理由通知への応答にかかる費用の一部を補助する制度です。令和8年度の交付申請は2026年12月14日(月)17:00までで、予算がなくなり次第終了と案内されています。交付決定の前に代理人へ依頼すると対象外になるため、応答期限が近い案件ほど早めの申請が必要です。

海外向けに製品を売る製造業では、外国特許の出願に補助金を使う場合があります。ただ、出願して終わりではありません。各国の審査で拒絶理由が届き、そのたびに現地代理人の費用がかかります。

この記事では、INPIT(工業所有権情報・研修館)が公開している「交付要領(中間手続補助)令和8年度」をもとに、使える会社と、締切までに決めることを整理します。

対象になる手続

対象は、外国特許庁へ行った特許出願の中間の手続です。次の2つのどちらかに当たるものが補助の対象になります。

手続主な条件(交付要領より)
出願審査請求交付申請の時点で審査請求をしておらず、補助事業実施期間内に手続を終えられること
拒絶理由通知への応答(意見書・補正書)拒絶理由に「新規性」「進歩性」が指摘されていること。交付申請時に応答期限(延長期間を含まない)を過ぎていないこと

審査請求と中間応答は別の手続として扱われます。同じ出願で応答を繰り返す場合も、応答ごとに申請でき、重複申請にはならないとされています。申請は1手続(国別)ごとに必要です。

使えるのは、出願時に補助を受けた案件だけ

この補助は、だれでも申請できるものではありません。その特許出願について、INPIT外国出願補助金、または特許庁の外国出願支援事業などで交付決定を受けた者が対象です。都道府県等の中小企業支援センターを通じた海外出願支援事業も含まれます。

  • 日本国内に本社があり、中小企業者・創業特定法人・試験研究機関等・実施権者等のいずれかに当たること
  • 製造業の中小企業者は、資本金3億円以下または常勤従業員300人以下
  • みなし大企業(大企業が株式の2分の1以上を所有している等)は対象外
  • 事業承継などで権利を譲り受けた者は、要件を満たさない扱い

中間手続補助は、補助対象者と出願があらかじめ特定されているため、応募の審査は行わず、直接、交付申請をする仕組みです。ただし、交付申請では経費の精査があり、計上した経費がすべて補助対象になるとは限らないと案内されています。

補助率と上限

項目内容(令和8年度)
補助率補助対象経費の2分の1以内
1手続(国別)あたりの上限50万円以内
1事業者あたりの上限なし
申請できる手続の数上限なし(1手続ごとに申請)
交付申請の受付2026年4月1日(水)〜12月14日(月)17:00
補助事業の完了期限2027年1月29日(金)

共同出願の場合、上限額に持ち分割合または費用負担割合の低いほうを掛けた額が上限になります。支払いは実績報告のあとの精算払いです。

対象になる経費、ならない経費

区分主な内容
外国特許庁等への手数料審査請求料、意見書・補正書の提出や審査官面接に係る手数料
代理人費用国内代理人(弁理士等)と現地代理人の費用、送金手数料など
翻訳費用手続書類の翻訳費。単価×単語数などの内訳を見積書に書いたものに限る

一方で、次の費用は対象外です。消費税や海外の付加価値税、日本の特許庁に払う手数料、先行技術調査の費用、特許料・登録料、申請書や実績報告書の作成費用などです。国内と現地の代理人の間に別の代理人を挟む場合、その仲介手数料は原則として対象になりません。

支払いは銀行振込の実績で確認され、現金払いや手形払いは対象外です。外貨の支払いは、支払日当日のTTSレートで円に換算します。

12月14日までの段取り

  1. 外国出願のときに補助の交付決定を受けた出願かどうか、通知書で確かめる
  2. 審査請求の期限、または拒絶理由への応答期限を国ごとに一覧にする
  3. 国内の弁理士から、現地代理人費用・翻訳費の内訳が入った見積書を取る
  4. GビズIDプライムを用意する(申請はJグランツのみ。発行に1週間程度かかる)
  5. 交付申請を出し、交付決定の通知を受けてから代理人へ依頼する

交付要領では、依頼・発注のメールなどの証憑を実績報告で求めるとされています。応答期限が迫っている案件は、交付決定を待つ時間があるかを弁理士と先に相談してください。

補助を受けたあとも報告が続く

補助事業を終えたら、30日以内か完了期限のどちらか早い日までに実績報告書を出します。その後も毎年3月31日を過ぎたら、審査結果や登録状況を書いた権利化状況報告書を出す義務があります。出さない場合は、交付決定の取消しと返還を求めると書かれています。

課税事業者は、消費税の仕入控除税額を補助対象経費から差し引いて申請します。証拠書類は補助事業の完了後5年間の保存が必要です。特許の手続そのものは弁理士の業務ですが、補助金の申請・報告の段取りはお手伝いできます。費用はご相談時にお伝えします。

関連ページ:製造業で使える補助金/補助金の消費税分は返すのか/採択後の手続き

出典

制度の内容・金額・締切は変更されることがあります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。

執筆

行政書士 後藤 和樹

後藤行政書士事務所 代表(行政書士 登録番号 25082067)。静岡県・長野県を中心に、設備投資の1年前から補助金の申請・採択後の手続き・入金までを伴走支援しています。

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