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採択後の手続き

静岡県の収益力向上補助金、12月31日の完了までにやること

/ 執筆:行政書士 後藤 和樹

結論

静岡県の中小企業等収益力向上(賃上げ環境整備)事業費補助金は、令和8年12月31日までに、発注・納品・支払いまで終える必要があります。実績報告は「完了後30日以内」と「令和9年1月10日」の早いほうが期限です。年末は取引先も休みに入るため、11月中に残りの段取りを固めておくのが安全です。

この補助金は、静岡県産業振興財団が窓口となり、令和8年度は第1次・第2次の公募が行われました。交付決定を受けた会社は、いま補助事業を進めている最中のはずです。

県の補助金は、国の補助金よりも事業期間が短めです。この記事では、交付要綱と公募要領に書かれている「完了から入金まで」の手続きを、時系列で整理します。

年内に終えるのは「支払い」まで

公募要領では、補助対象になる経費の条件として、補助事業期間内に発注・納品・支払いが行われたものと定めています。補助事業期間は、交付決定日から最長で令和8年12月31日までです。

機械が12月中に届いても、支払いが1月になれば対象外になるおそれがあります。請求書の締め日と支払日を、取引先と事前にすり合わせておきましょう。

項目公募要領・交付要綱の定め
補助事業期間交付決定日から令和8年12月31日まで
対象になる経費期間内に発注・納品・支払いが行われ、見積書・契約書・請求書・領収書などの証憑が揃っているもの
対象外の支払い方法の例相殺払い、手形、小切手、ファクタリング、事業期間内に完了しない割賦
対象外の費用の例消費税、振込手数料、中古品の購入
支払いの方式補助事業終了後(交付確定後)の精算払い

実績報告の期限は「早いほう」

交付要綱では、実績報告の期限を「事業完了の日から起算して30日を経過した日」と「交付決定のあった年度の1月10日」のいずれか早い日と定めています。令和8年度の交付決定なら、遅くとも令和9年1月10日です。

早く終われば、そのぶん期限も早く来ます。たとえば11月末に支払いまで終えた場合は、12月末ごろが期限になります。

さらに公募要領では、実績報告の提出前に事務局の事前検査を受ける必要があると案内されています。詳細は交付決定時に案内されるため、通知書類をもう一度確認してください。

計画を変えるなら、変える前に承認を取る

事業の内容や経費を変えるときは、あらかじめ理事長の承認を受けることが交付の条件になっています。ただし、次の「軽微な変更」は承認申請が不要です。

  • 事業の実施過程で生じた事情の変化による、方法や手段の部分的な変更
  • 交付決定を受けた額の20%以内の減少となる経費の変更

機種の入れ替えや、経費が20%を超えて減るような変更は、承認申請が必要になる可能性があります。判断できない場合は事務局へ問い合わせるよう、公募要領に書かれています。

予定の期間内に終わらない見込みのときや、遂行が難しくなったときは、速やかに報告して指示を受けることも条件です。12月に入ってから気づくのでは遅いため、納期は今のうちに確かめておきましょう。

賃上げ要件は、完了時点で確かめられる

賃金引上げ要件に「該当」として申請した会社は、補助率2/3・上限額の引上げを受けています。この要件を補助対象期間の終了までに満たせなかった場合は、「非該当」の補助率と上限額が適用されます。

区分賃金引上げ要件 非該当賃金引上げ要件 該当
通常枠補助率1/2・上限500万円補助率2/3・上限700万円
DX推進枠補助率1/2・上限700万円補助率2/3・上限1,000万円

公募要領では、雇用保険加入者の基本給と毎月の固定的手当で、令和7年3月(基準月)と補助事業完了までの1か月(比較月)を比べ、3.5%以上の引上げが必要とされています。実績報告では、賃金引上げ確認シート「賃金引上げ後」と賃金台帳などの提出が求められます。

比較の対象は「基本給+毎月支払われる固定的手当」とされているため、賞与で上げても要件の計算には入らないと考えられます。比較に使う月を決めたら、早めに給与担当者と数字を確認しておきましょう。

完了から入金までの流れ

  1. 補助事業の完了:令和8年12月31日まで(支払いを含む)
  2. 事前検査・実績報告:完了後30日以内か令和9年1月10日の早いほうまで(電子申請)
  3. 交付確定:事務局が書類を検査し、必要に応じて現地検査のうえ額を確定
  4. 補助金の請求:交付確定通知の受領後10日以内に請求書を提出
  5. 入金:事務局は令和9年2月末までに振り込むと案内されています

実績報告で証憑に不備があると、確定までに時間がかかる場合があります。見積書から領収書まで、経費ごとに1セットで揃っているかを確認しておくと安心です。

入金のあとにも続く義務

補助金が入って終わりではありません。交付要綱には、入金後も守ることが定められています。

義務内容
取得財産の管理補助事業で取得した財産は、取得財産等管理台帳を備えて管理する
処分の制限1件50万円以上の機械・器具などは、耐用年数に相当する期間、承認なく目的外使用・譲渡・貸付・担保提供をしてはならない
帳簿・書類の保管補助金の交付を受けた年度の終了後5年間
事業実績報告最長2年間の事業計画期間の最終年度の決算確定後、速やかに提出
事後評価補助事業が完了した年度の終了後5年間、効果の調査が行われることがある

事業実績報告では、売上高・営業利益・人件費・減価償却費から付加価値額を計算し、計画の達成状況を示します。決算のたびに数字を拾えるよう、今のうちに計算の根拠を残しておくと楽になります。

11月中に済ませておきたいこと

  • 発注済みの設備・外注の納期と支払日を取引先と確認する
  • 変更が出そうな経費は、承認申請が必要か事務局に確認する
  • 賃上げ要件に該当で申請した場合は、比較月の賃金を試算する
  • 経費ごとに見積書・契約書・納品書・請求書・領収書が揃っているか点検する
  • 事前検査の案内を見直し、実績報告の作業日程を年内に確保する

当事務所では、交付決定後の実績報告や計画変更の書類づくりもお手伝いしています。年内の完了に間に合うかの確認だけのご相談も承ります。費用はご相談時にお伝えします。

関連ページ:採択後の手続き代行/交付決定後に設備や発注先を変えたいとき/補助金で買った設備は、勝手に売れない

出典

制度の内容・金額・締切は変更されることがあります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。

執筆

行政書士 後藤 和樹

後藤行政書士事務所 代表(行政書士 登録番号 25082067)。静岡県・長野県を中心に、設備投資の1年前から補助金の申請・採択後の手続き・入金までを伴走支援しています。

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