結論
地域未来投資促進税制は、1億円以上の設備投資で、特別償却(最大50%)か税額控除(最大6%)を受けられる制度です。ただし、都道府県による地域経済牽引事業計画の承認と、国の確認を着工・取得の前に受けておく必要があります。承認までは約2か月かかると案内されているため、投資の時期から逆算して動き出すことが大切です。
工場の新設や大型の設備更新を考えるとき、まず補助金を探す会社は多いと思います。一方で、地域未来投資促進法にもとづく支援は、補助金ではなく税制や融資の保証が中心です。
公募の締切に左右されないのが特徴です。その代わり、計画の承認という手続きを先に済ませておかないと、あとから使うことはできません。
対象になるのは、どんな事業か
都道府県や市町村が定めた基本計画にもとづき、事業者が「地域経済牽引事業計画」をつくり、知事の承認を受けます。静岡県の案内では、次の3つをすべて満たす必要があります。
| 要件 | 静岡県の案内 |
|---|---|
| 地域の特性 | 各基本計画に定める事業分野に適合すること |
| 高い付加価値 | 付加価値創出額が5,411万円を上回ること |
| 地域への経済的効果 | 売上げ12%増加、雇用者3%増加、雇用者給与等支給額12%増加のいずれかが見込まれること |
静岡県では県が承認します。ただし、静岡市・浜松市・牧之原市・焼津市が事業の実施場所となる計画は、各市が承認すると案内されています。事業所の所在地によって窓口が変わるので、最初に確認しておきます。
税制の中身:特別償却か税額控除を選ぶ
国税庁の案内では、青色申告をしている法人で、承認を受けた事業者が対象です。対象となる施設は、構成する減価償却資産の取得価額の合計が1億円以上であることが求められます。
| 対象資産 | 特別償却 | 税額控除 |
|---|---|---|
| 機械装置・器具備品(通常) | 35% | 4% |
| 機械装置・器具備品(主務大臣の確認で上乗せ) | 50% | 5%(さらに基準を満たすと6%) |
| 建物・附属設備・構築物 | 20% | 2% |
- 対象資産の取得価額は、1施設あたり80億円が上限です
- 税額控除は、その年度の法人税額の20%が上限です
- 新品に限られ、中古や貸付けに使う資産は対象外です
- 所有権移転外リースは、特別償却は使えず、税額控除は使えると案内されています
- 指定期間は令和10年3月31日(令和9年度末)までです
上乗せ(50%・5%)は、事業が地域の成長発展の基盤強化に著しく資する基準に合うことについて、主務大臣の確認を受けた場合に限られます。6%は、地域の事業者に著しい経済的効果を及ぼす基準について確認を受けた場合です。
順番を間違えると使えない
静岡県の案内では、課税特例を使う場合は「着工」前に事業計画の承認が必要とされています。また、税制などの支援措置を受けるには、承認のあとに国への手続きが別に必要です。
- 県(または該当する市)の担当課に電話で事前相談し、申請概要書を出す
- 事業分野に合うかなどの事前審査を受ける
- 事業計画を申請する(Gビズフォームまたはメール。Gビズフォームは事前にGビズIDが必要)
- 計画の承認を受ける(事前相談から約2か月)
- 課税特例を使う場合は、国の確認を受ける
- 着工・設備の取得、事業の用に供する
- 確定申告で明細書を添付し、特別償却または税額控除を受ける
発注や着工を先に決めてしまうと、承認が間に合わないことがあります。投資の判断と同じ時期に、事前相談を入れておくのが安全です。
補助金や他の税制と重ねるとき
国税庁の案内では、この税制を受ける資産には、租税特別措置法上の圧縮記帳、他の制度による特別償却・税額控除を重ねて使えません。同じ資産で特別償却と税額控除の両方を受けることもできません。
| 中小企業経営強化税制(経営力向上計画) | 同じ資産には、どちらか一方を選ぶ |
|---|---|
| 補助金で取得する設備 | 補助金の圧縮記帳(法人税法)との関係は、顧問税理士に確認する |
| 国の補助事業 | 地域未来投資促進事業の審査で加点などの優遇がある(静岡県の案内) |
| 信用保証 | 一般枠と同額の特例保証枠が追加される(静岡県の案内) |
投資額が大きい案件では、補助金・経営力向上計画・地域未来投資促進法のどれを使うかで、税金の効果も手続きの量も変わります。1つの設備にどの制度を当てるかを、計画の段階で決めておくことが要になります。
どんな会社が検討するとよいか
- 地域の農産物や特産品を使う菓子製造・食品工場の新設や増設
- 取引先の地域企業に波及する、製造ラインの大型投資
- セントラルキッチンの新設で、地元からの仕入れや雇用が増える計画
計画の承認の可否は、都道府県や市の審査によります。税額の計算と申告は顧問税理士の担当で、当事務所は計画の作成と申請を担当し、連携して進めます。費用はご相談時にお伝えします。
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出典
制度の内容・金額・締切は変更されることがあります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。