結論
環境共創イニシアチブ(SII)の「ディマンドリスポンスの拡大に向けたIoT化推進事業」は、交付申請の受付が2026年11月27日(金)までです。高圧以上で受電する工場・店舗などが、今ある空調・冷凍冷蔵設備・生産設備などをDRに使えるようにする通信機器やEMSを入れる費用に、1/2以内・上限2,000万円の補助が出ます。新しい設備を買う補助金ではなく、既存設備を「つなぐ」ための補助金です。
電気の需給がひっ迫したときに使用を抑えたり、再エネが余るときに使用を増やしたりする取り組みを、DR(ディマンドリスポンス)といいます。この事業は、まだDRに使われていない既存の設備をIoT化し、外部から監視・制御できるようにすることを支援するものです。公募要領(1.1版)の記載をもとに、締切までに確認することを整理します。
対象になる会社と設備
対象は、高圧以上(契約電力50kW以上)で電気を使う国内の法人で、個人事業主も含むと案内されています。補助の対象は設備そのものではなく、設備をDR対応にするための通信設備・センサー・EMSなどのIoT化関連機器です。
| IoT化できる設備の例 | 空調設備、業務用冷凍冷蔵設備、生産設備、自家発電設備、蓄電池、蓄熱槽、照明、EV充放電設備など |
|---|---|
| 設置場所の例 | 工場、小売店、コンビニエンスストア、商業施設、ホテル、オフィスビルなど |
| 原則 | 申請時点ですでに設置されている設備をIoT化すること(設備の入れ替えに合わせたDR対応も対象) |
| 通信機器の条件 | 外部と通信する機器は、JC-STARの★1を取得していること |
| 申請の単位 | 受電点ごとに1申請 |
冷凍冷蔵庫を多く持つ菓子製造やセントラルキッチン、空調負荷の大きい店舗や工場は、検討の余地があります。業務産業用蓄電システム導入支援事業と同時に申請する場合に限り、これから設置する蓄電池のIoT化も対象とされています。
補助率と対象経費
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 1/2以内 |
| 上限額 | 1申請あたり2,000万円 |
| 設計費 | 実施設計に必要な最低限の経費(基本設計費は対象外) |
| 設備費 | 通信機器、センサー、EMSなど、DR対応に必要な最低限の設備 |
| 工事費 | IoT化関連機器の設置に必要な最低限の工事費・据付費 |
課税事業者は、消費税の仕入控除税額を差し引いて申請します。予備品や、事業完了時点で使う予定のない設備は対象外です。予算は、家庭用・業務産業用の蓄電池事業と合わせた59.6億円のうち、3.4億円程度と案内されています。
DRアグリゲーターとの契約が前提
この事業では、SIIに登録された「DRアグリゲーター」とDR契約を結ぶことが必須です。契約には、需給ひっ迫時に使用を減らす下げDRと、再エネの出力制御が見込まれるときに使用を増やす上げDRの両方を含めます。
- DR契約は、少なくとも事業完了後から2028年3月31日まで続けること
- 需給ひっ迫の注意報・警報が出たときなどは、アグリゲーターからDRの要請や遠隔制御が行われること
- 設備を自社で所有する場合は、自社が申請者になり、アグリゲーターが共同申請者になること
- DR対応期間の後も、法定耐用年数の間は設備を適切に管理し、売却や廃棄の前にSIIへ連絡すること
アグリゲーターの一覧はSIIのホームページで公開されています。冷凍冷蔵設備や生産設備をどこまで止めたり動かしたりできるかは、品質や生産計画に関わります。契約内容は、現場の責任者と一緒に確認しておくと安全です。
発注は交付決定と三者見積検査のあと
交付決定の前に発注・契約をすると、補助の対象になりません。見積の取得は交付申請までに行えますが、発注はSIIの三者見積検査が終わってからです。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 交付申請まで | GビズIDプライムの取得、アグリゲーターの選定、見積の取得 |
| 2026年11月27日(金) | 交付申請の受付期限(Jグランツで申請) |
| 申請後2〜4週間程度 | 審査を経て交付決定(随時) |
| 発注の前 | 三者見積検査(同一条件の見積3者分・発注経過表など) |
| 2027年2月1日(月) | DR契約・通信試験・設置検収・支払いまで終えた事業完了の最終期限 |
| 完了後30日以内 | 実績報告(2027年2月1日のほうが早ければその日まで) |
三者見積で最安値以外の業者に発注する場合、補助対象経費の上限は最安値の額になります。見積依頼の仕様書で機種や発注先を指定することはできません。支払いは原則として検収の翌月までに金融機関を通して行い、手形・相殺・割賦などは認められていません。
ほかの補助金と組み合わせるとき
同じ設備について、他の国の補助金とは併用できません。自治体の補助金や税制優遇との併用は、それぞれの窓口に確認するよう案内されています。交付決定後は、事業者名や交付決定金額がSIIのホームページなどで公表されます。
審査があるため、申請すればかならず交付されるわけではありません。予算に限りがあるため、検討するなら早めに受電の状況とIoT化したい設備を洗い出しておくことをおすすめします。費用はご相談時にお伝えします。
関連ページ:工場の蓄電池補助金(業務産業用蓄電システム導入支援事業)/省エネ補助金/セントラルキッチンの補助金
出典
- 令和7年度補正 ディマンドリスポンスの拡大に向けたIoT化推進事業 公募情報(一般社団法人環境共創イニシアチブ)
- 令和7年度補正 ディマンドリスポンスの拡大に向けたIoT化推進事業 公募要領 1.1版(一般社団法人環境共創イニシアチブ)
- 令和7年度補正 ディマンドリスポンスの拡大に向けたIoT化推進事業(Jグランツ)
制度の内容・金額・締切は変更されることがあります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。