結論
環境省の「Scope3排出量削減のための企業間連携による省CO2設備投資促進事業」は、2026年11月13日(金)17時必着が最終締切です。大企業などの代表企業と、その取引先である連携企業が組んで、設備の更新でCO2を減らす取組が対象です。応募は代表企業が行うため、取引先の立場なら、まず発注元と話ができているかが出発点になります。
最近は、大手の取引先から「CO2の排出量を教えてほしい」と頼まれる製造業が増えています。発注元にとって、取引先の排出は自社のScope3(サプライチェーンの排出)に含まれるためです。この補助金は、その削減を発注元と取引先が一緒に進めるときの設備投資を支援するものです。
制度の骨組み
執行団体は一般社団法人地域循環共生社会連携協会です。環境省の事業概要では、次のとおり示されています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補助率 | 中小企業1/2、大企業1/3(GX率先実行宣言を行い、年3,000t-CO2以上削減する大企業は1/2) |
| 上限額 | 1事業者につき15億円 |
| 事業期間 | 最大3か年 |
| 補助対象 | 現在の設備に対して省CO2効果が見込める設備への更新 |
| 予算 | 令和8年度1,500百万円 |
| 申請方法 | 原則Jグランツ(GビズIDが必要) |
公募は9月4日・10月9日・11月13日の3回の締切で受け付けており、予算がなくなり次第終了し、残額は執行団体のホームページで公表されると案内されています。
代表企業と連携企業の役割
主な要件は2つです。ひとつは、代表企業が「GX率先実行宣言」を行っていること。もうひとつは、代表企業のScope3削減目標をふまえて、事業後の連携企業のCO2排出量について両者が合意していることです。
| 連携企業の数 | 代表企業が大企業なら2者以上、中堅・中小企業なら1者以上 |
|---|---|
| 合意の形 | 書面での取り交わしが必要。合意書は自由形式で、交付申請時に提出 |
| 応募する人 | 代表企業 |
| 交付申請する人 | 採択後、設備を所有する者が代表事業者として行う(リースならリース会社) |
| 経営層の面談 | 審査で代表企業の代表権を有する者などとの面談がある |
取引先であることは、実施計画書でバリューチェーンの概要と取引品目を書いて示します。よくある質問では、持株会社が代表企業になり、子会社の取引先を連携企業とする組み方は認められないとされています。
CO2削減率の要件
削減率は、事業全体と事業者ごとの2段階で見られます。
| 対象 | 必要な省CO2効果 |
|---|---|
| 事業全体(導入設備の合計) | 30%以上 |
| 大企業 | 30%以上 |
| 中堅企業 | 20%以上 |
| 中小企業 | 10%以上 |
中小企業が入れるLED照明は、10%の要件には含めず、事業全体の30%には含めると案内されています。基準年度の排出量は、令和5〜7年度の平均か令和7年度のどちらかを選べます。投資回収年数は事業者単位で3年以上が求められ、(総事業費-補助金)÷年間のランニングコスト削減額で計算します。
対象にならない設備・経費
「更新」で減らすことが前提なので、次のようなものは対象外とされています。
- 新しい生産ラインの新設(従来技術より省CO2でも対象外)
- 故障して使っていない設備の更新(更新前の排出がないため)
- 電気自動車などの車両、ルームエアコン
- 既設設備の撤去工事、既存配管の断熱
- 計画策定やコンサルティングの費用
- 新設時の状態に戻すだけの「機能回復」
代表企業のScope3の範囲にない工場だけの更新は対象外です。一方、範囲内の更新とあわせて行う場合は対象になるとされています。国の他の補助金とは併用できず、自治体の補助金は制度が併用を認めていれば使える場合があります。
発注は交付決定のあと
工事の発注・契約・着工・支払いは、すべて交付決定日以降です。見積り合わせで発注先を選ぶところまでは認められますが、契約書や注文請書の日付が交付決定より前だと補助の対象外になります。内示や口頭での発注も認められていません。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 今すぐ | GビズIDの取得(約2週間かかると案内)、発注元との合意内容の確認 |
| 11月6日(金)12時 | 執行団体への問い合わせ受付の期限 |
| 11月13日(金)17時 | 最終締切(必着) |
| 交付決定後 | 発注・契約・着工。単年度の事業は令和9年1月31日までの完了が前提とされています |
| 事業終了後3年間 | 事業報告。削減率が目標に届かなければ原因と対策を示す |
応募時は見積書がなくても概算で出せます。ただし、交付申請の段階で経費やCO2削減量が応募時から20%以上ずれると、応募のやり直しや変更承認が必要になる場合があります。概算でも、設備メーカーに根拠を確かめておくと安全です。
今回間に合わない場合
取引先として声がかかっていなければ、今回の締切から応募するのは現実的ではありません。それでも、自社の燃料・電気の使用量から排出量を把握しておくと、発注元からの依頼や次の公募、省エネ補助金を検討するときの材料になります。審査があるため、要件を満たしてもかならず採択されるわけではありません。費用はご相談時にお伝えします。
関連ページ:省エネ補助金(省エネ・非化石転換補助金)/製造業の補助金/交付決定後に設備や発注先を変えたいとき
出典
- Scope3排出量削減のための企業間連携による省CO2設備投資促進事業の公募開始について(環境省)
- 令和8年度 Scope3事業 公募情報(一般社団法人地域循環共生社会連携協会)
- 事業概要(環境省・一般社団法人地域循環共生社会連携協会)
- よくある質問 令和8年度 V1.1(一般社団法人地域循環共生社会連携協会)
制度の内容・金額・締切は変更されることがあります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。