結論
環境省の「Scope3排出量削減のための企業間連携による省CO2設備投資促進事業」は、最終締切が2026年11月13日(金)17時必着です。取引先の代表企業が申請者になり、サプライヤーなどの連携企業が省CO2設備を入れる仕組みで、中小企業の補助率は1/2です。自社だけでは申請できないため、取引先との合意づくりから始める必要があります。
大手の取引先から、自社のCO2排出量や削減計画を聞かれる場面が増えています。取引先から見ると、仕入先の工場の排出量は自社の「Scope3」にあたるためです。この事業は、取引先と仕入先が組んで設備を更新する場合に使える補助金です。公募要領(令和8年7月30日)の記載をもとに整理します。
誰が申請し、誰が設備を入れるのか
応募申請をするのは代表企業です。設備を入れるのは、代表企業から見て対象のScope3カテゴリーにあたる連携企業です。代表企業や、その子会社が設備を更新することもできます。
| 役割 | 主な要件 |
|---|---|
| 代表企業 | 「GX率先実行宣言」を行っていること(グレードは問わない)。連携企業とCO2削減の合意を結ぶ |
| 連携企業の数 | 代表企業が大企業なら2者以上、中堅・中小企業なら1者以上が年度内に交付決定を受けること |
| 連携企業 | 代表企業から見て、Scope3のカテゴリー1(購入した製品・サービス)、4(上流の輸送・配送)、5(廃棄物)、9(下流の輸送・配送)、12(販売した製品の廃棄)にあたる事業者 |
部品や原材料を納めている製造業、食品の受託製造、物流や廃棄物処理の会社などが連携企業の候補になります。2次サプライヤーも、代表企業などと合意を交わせば申請できると案内されています。
削減率と費用対効果の要件
更新する設備全体で、今の設備構成より30%以上CO2を減らすことが前提です。そのうえで、事業者ごとに次の削減率を満たす必要があります。
| 企業規模 | 事業者ごとの削減率 |
|---|---|
| 大企業 | 30%以上 |
| 中堅企業 | 20%以上 |
| 中小企業 | 10%以上 |
- 対策は、高効率設備への更新、電化・燃料転換、廃エネルギーの利用、再エネの導入(太陽光発電設備は対象外)など
- 事業者ごとの費用対効果が1t-CO2あたり10万円以下であること
- 事業者ごとの投資回収年数が3年以上であること
- 導入する設備の能力は、原則として既存設備と同程度以下であること
対象はエネルギー起源のCO2だけです。ボイラーや空調、冷凍機、炉などの年間エネルギー使用量を、更新前後で数字にしておく必要があります。
補助率と上限額
| 補助率(中小企業) | 1/2 |
|---|---|
| 補助率(中小企業以外) | 1/3(GX率先実行宣言を行い、1事業所で年3,000t-CO2以上減らす場合は、その事業所が1/2) |
| 補助上限額 | 1事業者あたり15億円(後年度分を含む総額) |
| 事業期間 | 原則3年以内。単年度事業は交付決定日から2027年1月31日まで |
| 令和8年度の予算目安 | 約10億円(3年間で総額約50億円) |
蓄電池、既存設備の撤去費、見える化機器などは補助の対象外です。LED照明は単体では対象外ですが、中小企業に限り、主要な設備と一緒に入れる制御機能付きLEDは対象になります。同じ設備で国の他の補助金を受けることはできません。
締切までの段取り
公募は3回の締切に分かれており、第1期(9月4日)と第2期(10月9日)はすでに過ぎています。残るのは最終締切だけです。採択状況によっては公募を行わない場合があるとも案内されています。
| 時期 | やること |
|---|---|
| 今すぐ | 取引先と参加の意思を確認。代表企業のGビズID取得(2週間程度かかる) |
| 10月中 | 更新する設備の選定、見積、更新前後のエネルギー使用量とCO2削減量の試算 |
| 2026年11月6日(金)12時 | 執行団体への問い合わせ・WEB個別相談の受付期限 |
| 2026年11月13日(金)17時 | 最終締切。代表企業がJグランツで応募申請 |
| 採択後 | 設備を入れる事業所ごとに交付申請。令和8年度中に交付決定を受ける必要がある |
交付決定の前に契約・発注した経費は対象になりません。見積は取っても、発注は交付決定を待つことになります。単年度事業は2027年1月31日までに工事・試運転・支払いまで終える必要があるため、設備の納期も早めに確認しておくと安全です。
入れたあとに続く報告
事業が終わった年度の翌年度から3年間、毎年CO2削減効果の事業報告を出します。工場・事業場のCO2排出量をEEGS(省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム)に登録し、その写しも提出します。代表企業は、連携企業から買う原料・部品の取引額も3年間報告することになっています。
採択者の事業概要や排出量・削減量は、原則として環境省が公表する予定です。取引先との関係を外に出すことになるため、社内と取引先の両方で了解を取っておくと進めやすくなります。審査があるため、申請すればかならず採択されるわけではありません。費用はご相談時にお伝えします。
関連ページ:省エネ補助金(省エネ・非化石転換補助金)/製造業の補助金/交付決定後に設備や発注先を変えたいとき
出典
- 令和8年度「Scope3排出量削減のための企業間連携による省CO2設備投資促進事業」の公募について(環境省)
- 令和8年度 Scope3事業 公募情報(一般社団法人地域循環共生社会連携協会)
- 令和8年度 Scope3事業 公募要領(一般社団法人地域循環共生社会連携協会)
制度の内容・金額・締切は変更されることがあります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。