結論
環境省の「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」は、秋公募が2026年10月13日(火)17時必着です。秋公募は2か年度にまたがる事業(複数年度事業)に限って募集されています。補助率は原則3分の1以下で、上限は1事業者あたり5億円と案内されています。
この補助金は、フロンではなくアンモニア・二酸化炭素・空気・水などの自然冷媒を使う冷凍冷蔵機器を入れるときに使えます。執行団体は一般財団法人 日本冷媒・環境保全機構(JRECO)です。
菓子や総菜の製造工場、セントラルキッチンを持つ飲食チェーン、自社で冷凍倉庫を持つ会社にとっては、冷凍機の入れ替えの時期と重なりやすい制度です。締切まで3週間ほどしかないため、今回出せるかどうかの見極めが先になります。
どんな施設と機器が対象になるのか
公募要領では、対象の施設が3つに分けられています。
| 施設 | 公募要領での主な定義 |
|---|---|
| 冷凍冷蔵倉庫 | 生鮮品・加工品・凍結品などを常時低温で保管する倉庫。保管の場所を含まない計画は対象外 |
| 食品製造工場 | 食品やその原材料を製造・加工する工場。製造・加工の工程で冷却・冷蔵・冷凍に使う設備が対象 |
| 食品小売店舗 | 冷蔵・冷凍のショーケースのほか、プレハブ式の冷凍・冷蔵保管庫への導入も含む |
対象の機器は「脱炭素型自然冷媒機器」です。同じ能力のフロン機器と比べて、エネルギー起源の二酸化炭素の排出が少ないものに限られます。自然冷媒でも、実用化に至っていない技術は対象外とされています。
- 新設・更新・建替のいずれも対象
- 申請は原則として事業所ごと
- 応募の時点で、機器の設置場所が確定していること
- 導入する機器や設備に、国のほかの補助金を受けていないこと
セントラルキッチンが「食品製造工場」に当たるかは、そこで行う加工の内容で判断することになります。迷う場合は、応募の前に執行団体へ確認しておくのが確実です。
補助率と上限はどうなっているか
補助率は、会社の規模と区分で変わります。公募要領の別表では次のとおり案内されています。
| 区分 | 補助率 | 上限(1事業者あたり) |
|---|---|---|
| 大企業 | 1/3 | 5億円 |
| 中小企業 | 1/3 | 5億円 |
| 先進的な中小企業 | 1/2 | 5億円 |
| コンビニエンスストア(フランチャイズ) | 1/3(先進的な中小企業は1/2) | 2億5千万円 |
「先進的な中小企業」は、自然冷媒機器への転換目標を自社のウェブサイトに載せるなどの条件を満たし、かつ審査の得点が中小企業の中で上位(最大20%以内)の事業者とされています。応募の時点では「掲載案」でもよいと案内されています。
中小企業の判定は、製造業なら資本金3億円以下または従業員300人以下が目安です。ただし、大企業が株式の半分以上を持つ会社などは「先進的な中小企業」として申請できません。
既存施設の撤去費・廃棄物の処分費、予備機や将来用の設備は、補助の対象外です。
秋公募は、どんな会社なら間に合うのか
秋公募は複数年度事業だけが対象です。事業期間は、交付決定の日から2028年2月29日までの2か年度とされています。複数年度事業として申請するには、次のすべてを満たす必要があります。
- 初年度で終えるのが難しく、翌年度にまたがる特段の事由がある(見積書・工程表などで説明が必要)
- 年度ごとの工事内容と経費を分けた実施計画書を出せる
- 各年度の支払いに見合う成果(設計図書・機器購入・工事実績など)が、その年度内に出せる
応募書類には、導入前後の系統図と設備の配置図、機器表、CO2削減効果の計算書、機器カタログ、見積書、工程表、直近2期の決算書などが並びます。設備メーカーや施工会社との打合せが進み、見積りと工程表がすでに手元にある会社でないと、10月13日には間に合いにくいと考えてください。
電子申請(jGrants)で出すなら、gBizIDプライムの取得に2〜3週間かかる場合があると案内されています。郵送でも提出できます。予算は春・秋の複数年度事業を合わせて約20億円で、そのうち秋公募は約10億円の予定とされています。
採択されたあと、何が求められるのか
採択はゴールではありません。この補助金は、交付決定のあとにも手続きと報告が続きます。
| 時期 | 求められること |
|---|---|
| 交付決定まで | 契約・発注は交付決定日以降。比較対象のフロン機器の見積書なども提出 |
| 初年度 | 初年度分の支払いは1月末までに完了。年度終了実績報告書を2月10日までに提出 |
| 事業完了時 | 完了後30日以内または3月10日の早い方までに完了実績報告書を提出 |
| 完了後3年間 | 毎年度、CO2とフロン類の削減効果の事業報告書を提出 |
| 法定耐用年数の間 | 売却・転用・担保などの処分には事前の承認が必要 |
帳簿と証拠書類は、事業完了の年度の終了後5年間保存します。支払いは現金か銀行振込で、手形払いは認められていません。既存のフロン機器を撤去する場合は、登録を受けた回収業者にフロンを引き渡した証明も必要です。
また、この補助金は法人税法上の「国庫補助金等」に当たると案内されており、固定資産の取得に充てた部分は圧縮記帳の対象になります。税務の扱いは顧問税理士の先生にご確認ください。
いつ相談すればよいか
今回の秋公募に出すなら、見積りと工程表がそろっている今すぐです。2か年度にまたがる理由と、年度ごとの工事・支払いの区切りを計画書に落とし込む作業が、いちばん時間を取ります。
間に合わない場合も、準備は無駄になりません。機器の選定、フロン機器との比較、CO2削減量の根拠づくりは、次の公募でもそのまま使えます。来年度の公募の時期は、現時点ではまだ案内されていません。発表されてから動くより、冷凍機の更新時期が見えた段階で準備を始めておくのが確実です。
工場・倉庫・店舗のどの設備を、いつ入れ替える予定かをお聞かせいただければ、進め方をご説明します。費用はご相談時にお伝えします。
関連ページ:お菓子の製造業と補助金/セントラルキッチンへの投資と補助金/補助金が入った期の税金と、圧縮記帳の使いどころ
出典
- 政府補助金事業(環境省)令和8年度 秋公募(一般財団法人 日本冷媒・環境保全機構)
- 令和8年度 コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業 公募要領(日本冷媒・環境保全機構)
- 令和8年度「コールドチェーンを支える冷凍冷蔵機器の脱フロン・脱炭素化推進事業」の春公募を開始します(環境省)
- 補助金|自然冷媒普及促進サイト(環境省)
制度の内容・金額・締切は変更されることがあります。申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。